今回の話は超真面目な話をします。
タイトルの通り10年後、20年後のタイの物価について考察です。
タイに限らずアメリカでもアジアでもヨーロッパでも同じ事が言えます、
年金や貯蓄で長期移住を考えている人にはとても重要ですので最後までお読みください。
結論から言いますと、移住計画に物価上昇を必ず考慮しましょう。全体的な物価は10年間で今の約1.29倍、20年で1.45倍になります。
バンコクで50バーツのバミーが10年後には65バーツ、20年後には75バーツ位になる予想されます。大規模な最低賃金の改定があればもっと高くなることも考えられます。
タイの値段に0を付けると日本の値段になる
タイで買い物をするとき値段に0を1個付けた数字に円を付けたものが日本の物価と大凡イコールになります。ここでは相対的価格と呼ぶことにします。
コーラ 16バーツ → 160 → 160円
Tシャツ 199バーツ → 1990 → 1990円
大盛りタイラーメン 60バーツ → 600 → 600円 (大盛りで日本の普通盛り相当)
タイと日本の物価の差
執筆時の円バーツ為替レートは1バーツ=3.47円。ここでは絶対的価格と言い換えます。
1バーツの相対的価格は10円です。
「相対的価格」÷「絶対的価格」= 10円 ÷ 3.47円 = 2.88
つまり、「タイの物価」:「日本の物価」= 1 : 2.88 になります。
インフレ率 2001年~2020年の推移
日本のインフレ率
下記は2001年~2020年の日本のインフレ率です。
(IMF – World Economic Outlook Databases 出典)
2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 |
-0.74 | -0.92 | -0.26 | -0.01 | -0.28 | 0.25 | 0.06 | 1.38 | -1.35 | -0.72 |
2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 |
-0.27 | -0.06 | 0.34 | 2.76 | 0.79 | -0.12 | 0.47 | 0.98 | 0.48 | -0.02 |
2000年の物価を1.00とした時2010年は0.97、2020年では1.03となります。
つまり、日本は10年経っても20年経っても物価は殆ど変わりません。
変ったのは消費税や酒税などの税金くらいですね。
タイのインフレ率
下記は2001年~2020年のタイのインフレ率です。
(IMF – World Economic Outlook Databases 出典)
2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 |
1.61 | 0.66 | 1.81 | 2.81 | 4.47 | 4.71 | 2.17 | 5.49 | -0.87 | 3.30 |
2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 |
3.81 | 3.01 | 2.19 | 1.89 | -0.90 | 0.19 | 0.67 | 1.07 | 0.71 | -0.85 |
同様に2000年の物価を1.00とした時2010年は1.29、2020年では1.45となります。
タイは10年で物価が1.29倍、20年で1.45倍になったのです。
世界経済ではインフレ率の目標は2%
世界経済では各国のインフレ率の目標は2%が一般的です。
毎年2%上昇すると10年で1.22倍、20年で1.49倍になります。
タイの物価上昇は2%の数値と大体同じになっていますね。
日本はもバブル崩壊前は物価上昇していましたが、バブル崩壊後は微増微減を繰り返しで20年経っても物価が変わっていないのは世界から見ると異常と言えます。
事実、以前はタイ人にとって日本旅行は裕福層でもない限り難しいものでしたが、昨今は中間層の人にも行き易く、行ってみたら日本の物価は想像してたより安かったという感想も多く聞かれるようになりました。
ちなみにインフレ率年2%でタイの物価と日本の物価が同じになるには、単純計算で54年になります。実際には賃金上昇や金融政策、為替など様々な要因が関係してきますのでもっと早く抜かれるかもしれません。
年金〇万円と貯蓄○○〇万円で移住は出来ますか?
昨今のステイホームの影響でYoutubeに投稿するユーチューバーが激増して、海外在住ユーチューバーが「年金〇万円と貯蓄○○〇万円でタイ移住やフィリピン移住は出来ますか?」などの質問に答える動画をよく目にします。
冒頭で言ったように物価上昇を考慮する事が重要になります。
今の物価だけで計画してしまうと10年、20年後の計画に大きく差異が出てしまいます。
年金受給額は日本の物価が基準
年金は日本の物価上昇により年金額が補正されますが、日本は物価上昇が無ければ額面は変わりません。また、年金システムの改正などで支給開始年齢の引上げや早期受給の減額の変動もあります。
例えばタイ在住で現在年金を月10万円受給している場合、10年後も額面は10万円ですが、その価値は今の10万円とイコールではなく、82,000円相当になります。20年後の価値は今の69,000円相当にしかなりません。
貯蓄では現金の価値は減ってしまう
貯蓄○○〇万円は銀行に預けても殆ど金利は付きません。インフレ率が2%ですので、預金金利2%以下の場合は貯蓄の価値が年々目減りしてしまいます。
貯蓄○○〇万円の価値を保持しようとすれば、年利2%以上の資産運用をしないと価値は保持できません。年金の価値下落分も補填したい場合は最低でも年利3~4%は必要になってきます。
余剰資金は海外積立投資や株式投資など様々な資産運用を行う必要があると思います。(投資は内容を理解し、勉強したうえで自己責任で行ってください)

最後に
目先数年の移住なら物価上昇はそれほど考える必要はありませんが、10年20年と長期移住を考えるのであれば、物価上昇を考慮することは非常に重要です。
就労している人であれば、給料は物価変動などによって昇給していきますので、働いている間は物価上昇による生活への影響はそれほど無いでしょう。